航時機

昔のことを思い出しつつ気の向くままに書いてます。

藤田淑子さんご逝去によせて。追悼の散文

 

わたしがキテレツ大百科のアニメをはじめて見たのは大学時代のとき。

リアルタイムや再放送で触れてきた方たちよりはかなり遅い出会いだ。

 

それでも、キテレツやコロ助たちが織りなす物語に魅入られ

他のファンの方たち同等の愛情を持っているつもりである。

 

今日もいつもと同じようにdアニメストアキテレツ大百科を見直して、

いつも通りの1日を過ごして帰宅しようとしたそのとき。

 

Twitterでリプライをくださった方がいらっしゃった。

藤田さんご逝去のニュースを知らせてくれたのだ。

 

www.oricon.co.jp

 

わたしはあまりの衝撃で体中の力が抜け、その場に座り込んでしまった。

いつも聞いているキテレツの声。大好きな声。

その声の主の方が去ってしまった。

 

正直にいえば、わたしはあまり人の死に対して特別な思いがなかったりする。

人はいつか死ぬものだということは理解しているつもりだから、

かなしいな、ありがとう、それで終わってしまうことも多い。

 

今の時代ではまだ若い方だから。

これからも色々な作品に出てほしい方だったから。

とても惜しい。わたしの生きる時間を分けてでも、生きていてほしかった。

 

 

少しだけ昔の話。

わたしがキテレツ大百科の最終回を見て、わんわん泣いた。

もうこれ以上話はないのか。見られないのかと。

そのときは、どこの局でももう再放送はやってくれないし

Blu-rayボックスもでていないし、録画して残しておいた話しか見られなくて

キテレツロスに悩まされていた。

 

そんなとき、藤子F不二雄ミュージアムコロ助のはじめてのおつかいという

短編アニメーションが放映されることになった。

 

新規アニメが見られるということでとんでもなく喜んだわたしは

早速ミュージアムに足を運んだ。

 

終わってしまったはずのキテレツ大百科

アニメ最終回では、江戸時代に戻ってしまったコロ助が、

またキテレツたちと暮らして、いつもの日常を見せてくれた。

 

大好きなコロ助が、喋った。動いた。

今でも思い出せるほど嬉しさがこみあげて、

隣に幼女が座ってたのにボロボロ泣いて見た。

(泣くような内容ではない)

 

でも、そのアニメでは、キテレツやパパ、ママは喋らない。

あくまでコロ助と、その他のキャラだけ。

ドラえもんのび太はわかるけど、コンポコやらバケラッタ(O次郎)は喋るのに、

木手家の人たちは喋らないのだ…

 

それだけは本当に切なかったのだけど、

いつか、キテレツ大百科はリメイクすると信じていたから。

これは短編だし、いつか絶対に新しいのがやるに違いないって。

だってこんなに人気なんだもん。

キテレツ大百科って、悪者がいなくていいよね。面白いよね。

内容もしっかりしてるよねと言ってくれる人がこんなにたくさんいるから

絶対にやってくれると思ってた。

 

肝付さんが亡くなってしまって、

ああ、勉三さんの声は他の誰も出せないなぁと思っていたけれど。

キテレツとコロ助は、また同じ声を聞かせてくれるもんだと

勝手に思い込んでいたから。

 

本当に本当に悲しくて、もうどうにも心がまとまらない。

 

 

本当に、美しい少年の声を出される方でした。

キテレツみたいな小さな男の子ももちろんだけど、

少し大人な声も素敵だったし、広の声も好きでした。

 

亡くなってしまってとても悲しいし

もっともっと藤田さんの声を聞きたかったし

いつまでもキテレツでいてほしかったけれど

 

安らかに眠って、どうか天国で素敵なお声を響かせていてください…

 

 

***

 

 

他にも思い入れのある作品はたくさんあるけれど

永遠に終わりがないくらい長い、有数の日常系アニメなので

その先が本当に絶たれてしまったことがとてつもなく悲しい。

 

綾波レイではないけれど、

誰しも代わりがいてしまうんですよね。

わたしや他の誰かにとって、唯一無二だとしても。

 

本当に悲しいのはそういうことかもしれないです。

 

だって、たとえば母親とか父親とか、

それは誰にも代わりようがないことじゃないですか。

 

でも、「キテレツの声の人」というのは、

もしキテレツの声が必要になったときに、

誰かが代わりを務めてしまうかもしれないんです。

 

わたしにとっては、それが一番悲しいことなんだなと

このブログを書いてようやく気付きました。

 

だから、せめてわたしの中だけでも、

キテレツの声の人は、藤田さんだけ。という気持ちを持っていたいです。

 

全然話は変わっちゃうけれど、そういう意味では、

藤田まことさんという人はすごいですよね。

未だに昔の音声や映像を使って必殺仕事人が作られてますからねえ。

 

彼がいてはじめての作品で、誰も代わりが務まらないというのは

役者さんにとってとても名誉なことだと思います。

 

 

わたしにとってキテレツの声を務めた藤田淑子さんという人は、

そういう、誰にも代わりが務まらない人でありました。

 

しばらくの間喪に服します。

忘れられるわけはないですが、なるべく明るい気持ちでキテレツを見て

レビューもちょこちょこと更新していきます。

 

平成最後、本当に本当にいろんな方をあの世へ連れて行ってしまうね。

ようやく嫌なことと縁切ってすっきりして

ネオ・東京イヤーを迎えようと思っていた矢先のとても悲しい知らせでした。

 

それではまた、更新します。

 

 

ちいたむ拝