航時機

昔のことを思い出しつつ気の向くままに書いてます。

守ると壊すは紙一重

 

わたしの人の見方の問題から書き記していく。

 

私は、内と外の扱いにかなりの落差がある人間である。

外に対しては敵意丸出しに、人を人として見ていないといっても

過言ではないぐらいの態度を示してしまう。

さすがにこの年になってそれはマズいので、

そろそろ直さなければとは思っているのだが、

田舎者の性なのか(田舎のせいにしてはいけないけれど)

なかなか矯正できないものの見方のひとつである。

 

対して、内に対する見方だが、

一度テリトリーにさえ入ってしまえば、

掌を返したように厚い待遇で人をもてなそうとする。

わかりやすく言えばスネ夫タイプなんだろうか…

仲良くなった人にはいい思いをしてほしい、という一心で

ない頭を使って必死に対応している。

 

外は穢れ、内は神聖という考え方が、こびりついてしまっているのだ。

 

ふつうではあまりない感覚かもしれないが、

仲のいい友人に対して、かなり神聖視している面があり、

自分でもびっくりすることがある。

 

例えば、女性同士の生々しい下ネタトーク。

男性陣の下ネタが生々しくない、というわけではないのだが、

女子会などでは、詳しいところまで赤裸々に話されることがしばしばある。

わたしは、神聖視している人たちが、

そのような穢れの話をするのが耐えられないのだ。

 

好きという気持ちが高じて神聖化してしまう。

自分の中の理想像や勝手なイメージで、その人が作り上げられていく。

それらが裏切られてしまったとき、

予想外の一面を覗いてしまったとき、

禁忌的な感情を抱いてしまい、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるのだ。

 

いわゆる声豚の方々が、「○○たそ~は処女!!!」と決めつけ、

解析班の方々のおかげ(せい?)でそれが暴かれたとき

怒りを通り越し悲しみとも無とも言えない謎の感情がこみ上げてくる…

そんな思いに通ずるところがあるかもしれない。

 

 

私の中だけでなく、私以外の中にあるイメージをも壊されるかもしれない、

そんな一面を覗いたとき、覗かされたとき、

どうしようもない焦燥感に襲われた。

 

本当は、私以外みんなにとって当たり前の事実かもしれない。

でも、もしかしたら、その人がその人たる要素のひとつであるのに

みんなに明かしていない一面かもしれない。

 

誰に言うでもなく、一人心の奥にしまう。

そうしないと、すべてが壊れる気がしてしまう。

誰かが壊してしまう気がしてしまう。

 

私は私の勝手な理想のため、何もなかったことにする。

 

きっとこの身勝手な判断は、

神聖視したものを壊してしまえる、という優越感とも似た感情に

値するのかなぁ、なんてぼんやり考えながら、筆を走らせた次第です。

 

それを本当に壊してしまうメンヘラがいたりするから、怖いんだけれども。

踏みとどまるまでの思考回路は酷似しているかと思うと

また自分に嫌気がさしてしまいそう。

 

誰にでも、砂でできた綺麗なお城を壊してみたい、という欲望はあるものだと、

私は考えています。

やる、やらないは別として、知的好奇心として、

自分が一手下すことで起こり得る現象を見てみたいという感情は

湧き出るものだと考えるからです。

 

それまであったものの本質を変えてしまう。周りの何もかもも変えてしまう。

禁忌を侵すという行為の可能性は大変魅力的なものです。

とはいえ、自分の中にそんな恐ろしい感覚が潜んでいるのかと思うと、

もういてもたってもいられないのです。

 

先述のメンヘラは、壊してみたい、というより

自己利益のために壊す、というパターンが多いから、

禁忌に対して魅力を感じているかというとまた微妙なのですが。

 

壊したくないのに、壊せる、という感情も持ち合わせてしまう、

複雑な感情に悩まされた時の備忘録的なものとして残しておこうと思います。

 

 

割と、ファンタジー要素強めの散文でした。